コウノドリ最終話で『オランダへようこそ』という詩が取り上げられて感動を呼びました。
ドラマの中で、出生前診断でダウン症の子が生まれると知り、夫婦で…そして家族でたくさん悩んだ末に「それでも産みたい!」と決めた1人の母親がいました。
胎動を感じるこの子が愛おしい。
お腹の子を産むことを決めたとはいえ、それでも『障害を持って産まれてくる子を育てて行けるのだろうか?』
誰しもが自分に置き換えて考えさせられるストーリーではなかったでしょうか。
この母親が生まれてきた後の事を悩む中でこの詩に出会うことになります。
『オランダへようこそ』詩の全文

この詩の作者はエミリー・パール・キングスレイさん。
セサミストリートの作家でありながら、1974 年にダウン症のある息子さんが生まれてからは障がいのある人々のことを知らせる働きも行う方です。
この「オランダへようこそ」は1987年に書かれたもの。
その詩を引用させていただきます。
私はよく「障がいのある子を育てるのってどんな感じ?」と、聞かれることがあります。
そんな時私は、障がい児を育てるというユニークな経験をしたことがない人でも、それがどんな感じかわかるようにこんな話をします。
赤ちゃんの誕生を待つまでの間は、まるで、素敵な旅行の計画を立てるみたい。
例えば、旅先はイタリア。
山ほどガイドブックを買いこみ、楽しい計画を立てる。
コロシアム、ミケランジェロのダビデ像、ベニスのゴンドラ。簡単なイタリア語も覚えるかもしれない。とてもワクワクします。
そして、何カ月も待ち望んだその日がついにやってきます。 荷物を詰め込んで、いよいよ出発。
数時間後、あなたを乗せた飛行機が着陸。
そして、客室乗務員がやってきて、こう言うのです。
「オランダへようこそ!」
「オランダ!?」
「オランダってどういうこと?? 私は、イタリア行の手続きをし、イタリアにいるはずなのに。ずっと、イタリアに行くことが夢だったのに」
でも、飛行計画は変更になり、飛行機はオランダに着陸したのです。あなたは、ここにいなくてはなりません。
ここで大切なことは、飢えや病気だらけの、こわくてよごれた嫌な場所に連れてこられたわけではないということ。
ただ、ちょっと「違う場所」だっただけ。
だから、あなたは新しいガイドブックを買いに行かなくちゃ。 それから、今まで知らなかった新しいことばを覚えないとね。
そうすればきっと、これまで会ったことのない人たちとの新しい出会いがあるはず。
ただ、ちょっと「違う場所」だっただけ。
イタリアよりもゆったりとした時間が流れ、イタリアのような華やかさはないかもしれない。
でも、しばらくそこにいて、呼吸をととのえて、まわりを見渡してみると、オランダには風車があり、チューリップが咲き、レンブラントの絵画だってあることに気付くはず。
でも、まわりの人たちは、イタリアに行ったり来たりしています。そして、そこで過ごす時間がどれだけ素晴らしいかを自慢するかもしれないのです。
きっと、あなたはこの先ずっと「私も、イタリアへ行くはずだった。そのつもりだったのに。」と、いうのでしょう。
心の痛みは決して、決して、消えることはありません。
だって、失った夢はあまりに大きすぎるから。でも、イタリアに行けなかったことをいつまでも嘆いていたら、オランダならではの素晴らしさ、オランダにこそある愛しいものを、心から楽しむことはないでしょう。
自分の望んだ通りの子が生まれるはずだった。
でもそればかりに目をとめてしまうと、障害を持つ子と過ごす幸せな瞬間にも気付かないかもしれない。
これはダウン症の子だけに当てはまる詩ではなくて、私たちが生きる上で行き詰まる時にも気持ちを切り替えるヒントとなる詩だと思います。
子育てをしていく上でも、たとえ健常者の子どもを育てていても全てが思い通りにいく訳ではないですよね。
『こんなはずじゃなかった』
そんなネガティブな気持ちになりそうな時は、この詩を思い出してみたいと思います。
最後にドラマ『コウノドリ』の感想を少しと、まとめ

妊娠していたら出産が怖くなるんじゃないかなぁー…というシーンも多々ありましたが、『一つ一つの命』について深く考えさせられるドラマでした。
綾野剛演じるサクラが、ダウン症の赤ちゃんを中絶手術した後に涙目でつぶやいた「(中絶手術は)産科医にとって、避けられないことだからね。・・・でもさ、僕は赤ちゃんが好きだから…」の一言が印象深かったです。
全体として、改めて出産は奇跡だなぁと感じるドラマでしたね。
今回は『コウノドリ2』ということで続編でしたが、パート1よりも出産後の現実に目を向けて作られていたように感じます。
命を持つことの責任や尊さを教えるこのドラマ、男性や未成年の若者たちにも是非見てほしいなと思います。
パート3はあるのかな〜(期待)
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